大判例

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仙台高等裁判所 昭和29年(う)421号 判決

原判決はその判示第二(ニ)(イ)において「被告人は昭和二十七年九月九日頃原判示豊川村高橋豊一方において、同人及び高橋鉄太郎、伊藤佐重、鈴木八郎右エ門等四名に対し清酒一升以上を選挙運動の報酬として提供し以て饗応接待した」と判示し、その饗応した清酒の量を「一升以上」と判示していることは所論の通りである。しかし判決における罪となるべき事実の表示は、処罰の対象となつた行為を、犯罪構成要件に該当する具体的事実として特定し、その同一性を明かにする程度に表示すれば足るのであり、それ以上に精密であることは必ずしも之を必要とするものではない。而して公職選挙法第二百二十一条第一項第一号の饗応の罪は、饗応の当事者、日時、場所、提供せられた物の数量代価及び饗応の趣旨等を特定することによつてその行為を特定し、同一性を明かにされるのを通例とするが、それらの事項の一部に若干不精確な点があつても、全体として観察すれば、之を特定し得る場合もないわけではない。原判示第二(ニ)(イ)が饗応した清酒の数量を「一升以上」と判示したことは不精確のそしりを免れないが前記摘録の同判示全文に徴すれば右饗応の罪に該当する具体的行為として之を特定し、その同一性を明確にし得ないわけではない。それ故論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 鈴木禎次郎 裁判官 蓮見重治 裁判官 細野幸雄)

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